FXトレードをしている中で、約定ボタン押したのに少しズレたレートで決済されてしまったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。
FXトレードでは、注文発注時に提示されていたレートと実際に約定したレートとの間にズレが生じることがあります。
スリッページの意味を知っておくことで、不要な取引を避けたり取引コストを押さえられます。
Contents
FXのスリッページとは
FXのスリッページとは注文価格通りに注文されていない事象のことです。
トレーダーが注文ボタンを押した時の価格と、実際にFX会社側で注文が確定するまでの間で価格にズレる事象です。
注意
デイトレードやスキャルピングのようにトレード回数が多い手法では不利に働く
スリッページは損失が出るタイミングで発生する確率のほうが高いため、実質的な手数料とも言い換えることができます。
スリッページの影響
スリッページが発生してしまうと、自身が意図したタイミングで約定されないため損益に大きく影響します。
たとえば、米ドル/円が100円の時に1万通貨分買って、101円のタイミングで売ると想定します。
その時に、0.1円のスリッページが発生して100.90円で約定されてしまうと利益が1000円分も減ってしまいます。
ポイント
- 米ドル/円が100円の時に1万通貨分買う
- 米ドル/円が101円の時に1万通貨分売る
- 0.1円のスリッページが発生して利益が1000円分減る
もし10回スリッページが発生してしまうと、計算上は1回分の利益が無くなってしまいます。
スリッページが発生する理由・原因
FXトレーダーが取引する際には、FX口座を開設している証券会社を介して以下の手順で行われています。
FXトレードの流れ
- FXトレーダーが新規注文や決済注文をする
- FX会社がトレード内容を実行する
- FXトレーダーの注文内容が約定される
トレーダーが利用しているインターネットプロバイダや自宅などのネット環境によっては、FX会社のサーバーに注文内容が到達する間に遅延が発生します。
それぞれの証券会社におけるシステムの性能には強弱があり、性能が弱いシステムを使っているFX会社はタイムラグが発生しやすくなります。
トレーダーが出した注文内容は証券会社を介して行われているため、タイムラグが大きければ大きいほどスリッページが大きくなってしまいます。
スリッページとスプレッドの違い
スプレッドとは実質的な手数料(コスト)です。
FX証券会社によってスプレッド値が安かったり高かったりしますが、どのFX会社を利用する場合でもスプレッドコストは必要。
ポイント
- スプレッド:通貨ペアの売値と買値の差
- スリッページ:注文レートと実際に約定したレートの差
FX会社のサーバーに急激な負荷がかかったりするとスリッページが発生します。
FXの利確で使う注文方法
FXの利確で使う注文方法は以下の3つが挙げられます。
ポイント
- 成行注文で利確
- 指値注文で利確
- 逆指値注文で利確
利益確定のタイミングに関しては永遠のテーマだと言われており、人それぞれ考え方があるので非常に難しいです。
エントリーポイントは探せるようになり損切りもできるようになってきても、利益確定が上手くできないことで悩む人は多いです。
成行注文で利確
成行注文とは、なりゆきに任せる形の注文方法になっており、レートを指定せずに自身が買いたい(売りたい)タイミングで注文をする方法です。
現在の為替レートから『上がると思ったら買い』で入り、『下がると思ったら売り』で注文をすることが可能。
ポイント
- 米ドル円が1ドル110円の時に買う
- 110円以上になったら含み益になる
- 110円以下になったら含み損になる
- 好きなタイミングで決済する
FX取引は『買い』からでも『売り』からでもポジションを保有することができます。
指値注文で利確
指値注文とは、自身の希望売買価格をあらかじめ指定しておく注文方法です。
ポイント
- 米ドル円が1ドル110円
- 109円に下がったら買って111円になったら売る
- 109円になったら新規注文成立
- 111円になったら決済成立
為替相場は上昇または下降トレンドがしばらくの間継続する傾向があります。
指値注文のコツとしては、自身が想定するより深い位置で新規・決済注文を指定することです。
逆指値注文で利確
逆指値注文とは、現在のレートよりも高いレートで買ったり、現在のレートよりも低いレートで売る注文方法です。
ポイント
- 米ドル円が1ドル110円
- 111円に上がったら買って112円になったら売る
- 111円になったら新規注文成立
- 112円になったら決済成立
逆指値注文はストップ注文や損切注文とも呼ばれており、FX初心者は必ず設定しておきたい注文です。
為替相場が自身が予想した反対方向に動いた時に、損失を最小限に抑えることができるストッパー的な役割を持った注文方法と言えます。
FXのスリッページ対策方法
基本的なスリッページの対策方法は以下の通りです。
ポイント
- スリッページが発生しやすい時間帯を避ける
- スリッページが発生しにくいFX会社を選ぶ
- スリッページの許容範囲を設定する
短時間でトレードを繰り返す手法であるスキャルピングを容認しているFX会社は、サーバー性能やシステムが強い傾向があります。
相場急変時は注文殺到時でも注文がズレない屈強なFX会社を選びましょう。
トレーダー側ができる対策方法としては、スリッページ許容範囲を設定しておくことが効果的です。
スリッページが発生しやすい時間帯を避ける
重要な経済指標が発表されるタイミングや、週明けでマーケットが開いた直後などはスリッページが発生しやすくなります。
注意
相場急変時や市場参加者が少ない時間帯はスリッページが発生しやすい
重要な経済指標の発表時にトレーダーの注文が殺到すると処理に時間がかかるので、スリッページが発生しやすくなるようです。
トレーダーの注文が少ない時に相場が急変した際もスリッページが発生しやすいため注意が必要です。
スリッページの許容設定をする
それぞれのFX会社の取引画面から許容スリッページを設定することができます。
事前にスリッページの許容設定をしておくことで、相場の変動が大きい時に注文レートから乖離したレートで約定するのを防げます。
ポイント
許容スリッページの目安は、取引金額やトレードスタイルなどによって異なる
許容設定はどのくらいがいいかは取引金額やトレードスタイルによるので一概には言えませんが、多くのFX会社の初期設定値は3~5pipsになっています。
個人的なおすすめは、少しでも不利なスリッページが発生した場合は約定させたくないという理由から、スリッページ許容設定値を0にしています。
スリッページが発生しにくいFX会社を選ぶ
スリッページの予防策として、スリッページが発生しにくい条件を満たしているFX会社を使う選択肢が有効的です。
ポイント
- カバー先の金融機関数が多い
- サーバの性能が高い
カバー先金融機関とは、それぞれのFX会社が仲介している金融機関のことです。
カバー先が多いFX会社は処理がスムーズに進むのでスリッページが発生しにくいと言われています。
高性能サーバを設置しているFX会社もスリッページが発生しにくく、サーバー性能が低いFX会社は注文が殺到する時間帯は、スリッページが発生しやすい傾向があります。
FX口座を開設するならどこがいい?
FX口座を開設する時は、以下の条件のように自身にとって最適なFX会社を選んで組み合わせることが大切になります。
FX口座の開設目的 | おすすめの会社の特徴 |
短期取引 | スプレッドの狭い会社、約定力の高い会社 |
長期取引 | スワップポイントが高い会社 |
物色売買 | 通貨ペア数の多い会社 |
情報収集 | 情報量が多い会社、チャートが見やすい会社 |
自動売買 | 自動売買可能な会社 |
少額取引 | 取引通貨単位が1,000通貨以下の会社 |
自身の目的を達成できそうな優位な会社を選ぶようにするようにしましょう。
FX投資のやり方や元手いくらでどれくらい稼げるかは、別ページで解説・実践しているので参考にしてみてください。
FXは生活に支障が出ない余剰資金で行いましょう。
国内FX会社を利用するべき
海外FX業者はゼロカット方式を取り入れているため、FX口座に預けている以上の損失が出てしまった場合でも不足分を請求される心配はありません。
国内のFX会社は、証拠金維持率が50~100%を下回ると強制的にロスカットする機能が備わっています。
相場の予期せぬ大暴落または大暴騰で保有ポジションの含み損が急拡大すると、ロスカット機能が正常に機能しないパターンもあります。
ロスカット機能が正常に機能しなかった場合、下手するとマイナスが発生してしまい借金を背負ってしまう可能性もありえます。
それでも国内FX会社を利用するようにしましょう。
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スリッページの注意点
ここまで解説してきた通り、FXのスリッページとは注文価格通りに注文されていない事象のことです。
デイトレードやスイングトレードといったトレード回数が少ない手法であれば特に気になりませんが、スキャルピングのようなトレード回数が非常に多い手法では、スリッページによる影響が損益に大きく関わってきます。
スリッページは損失につながる要因になりえますが、スリッページを気にしすぎて取引スタイルを変えるのは本末転倒です。
トレーダー側ができる対策をしたうえで、約定力に定評のあるFX会社でトレードをするようにしましょう。