両建て手法は使い方によってはかなり有効ですが、利用者にとってメリットよりもデメリットのほうが多くなることがあります。
安易に両建てでポジションを建ててしまうと、大きな損失に繋がってしまうこともあり、両建ての使い方を理解していない段階で手を出すのは危険です。
それゆえに国内FX会社では『両建て手法は推奨していない』という一文が添えられています。
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FXの両建てとは
FXで使われる両建てとは、同じ通貨ペアを『買い(ロング)』と『売り(ショート)』でポジションを建てて保有することを言います。
同じ通貨ペアのポジションを『買い(ロング)』と『売り(ショート)』で持った時点で『両建て』が成立しています。
参考例
- 米ドル円が110円の時にロングとショートでポジションを建てる
- 米ドル円の為替レートが下がるとロングは損失・ショートは利益
- 米ドル円の為替レートが上がるとロングは利益・ショートは損失
同じ通貨ペアや銘柄のロングとショートを持つことで、相場がどちら(上下)に動いても利益と損失が相殺される状態になります。
利益が出てる時に決済する
両建ては利益と損失が相殺されますが、ポジションを決済しない限り利益も損失も確定しないので、利益が出ているほうだけ決済すればプラス益になります。
残ったほうのポジションは含み損が発生していますが、為替レートが戻ってきて利益が出るまで持つという選択肢もあります。
ポイント
上がるか下がるかの予測が不要になる
両建てを上手く使いこなすことで、戦略次第では相場がどちらに動いても利益を出すことができるようになるかもしれないというロマンがあります。
節税対策で使える
たとえば、今年FXでかなりの利益を出せたとします。
利益が出たということは確定申告で支払う税金も高くなります。
同じ通貨ペアで同じ量&同じ値くらいのポジションを両建てしておけば、必ずどちらかのポジションは含み損になっているはずです。
ポイント
- 同じ通貨ペアで同じ量&同じ値のポジションを両建て
- 年末に含み損が発生しているほうのポジションを決済
- 年始に含み益が発生しているほうのポジションを決済
含み損になっているほうのポジションを年末に決済すれば、その年の利益は減ることになるので節税対策になります。
その後、年始に含み益になっているポジションを決済すれば、年末に損失を確定させた分を取り戻せるという方法。
スプレッド分やマイナススワップ分や為替レートの急変動分はカバーしきれないということを把握しておく必要はあります。
どちらかのポジションが残る
相場がどちらに動くか分からない時に、ロングとショートのポジションを建てて利益を出していくとします。
ポジションを建てた値からレートが上がった場合、ロングポジションが含み益になるので決済できますが、ショートポジションは含み損になります。
ポジションを建てた値からレートが下がった場合、ショートポジションが含み益になるので決済できますが、ロングポジションは含み損になります。
FXにはトレンドというものがあり、一度どちらかの方向に動き出すと一方的に動き続けるという傾向があります。
注意
値が戻ってこずに数年間含み損を抱え込むことになりかねない
ロングとショートのどちらかのポジションが含み損状態で残ることになるので、結局は損切りを実行して損失を確定させなくてはいけなくなるかもしれません。
両建てでコツコツと利益を確定させていったとしても、取り残された含み損ポジションを損切りせざるを得ない状況になってしまい、ドカンと損失を出してしまう羽目になることもあります。
マイナススワップが発生する
FXでは、ポジションを保有しているだけで売買する2国間の金利差から毎日利益を得ることができます。
ポジションを保有しているだけで毎日(土日祝分は平日に付与)スワップが付与され、『金利の高い国/金利の低い国』という通貨ペアを買いポジションで保有することによってプラススワップが発生します。
スワップがもらえる通貨ペア
- 米ドル/円
- トルコリラ/円
- 南アフリカランド/円
- メキシコペソ/円
- 等々
反対に『金利の高い国/金利の低い国』という通貨ペアを売りポジションで保有するとマイナススワップが発生します。
つまり、両建てでポジションを建てて保有するとマイナススワップの発生は免れません。
両建ての必勝法とは
両建ては戦略次第では意味があり、戦略的に実行することで稼ぐチャンスが広がることは事実です。
含み損の拡大を防ぐためのリスクコントロールとして、一時的に両建てで保有するのは有効的な手段だと考えられます。
マーケットのトレンドが上昇か下落かの見極めが難しいタイミングにおいて、両建てしておけばレートがどちらに動いても柔軟に対応しやすくなります。
為替の動きを読み切ることは難しいため、損失を出すことも少なくありませんが、両建てをすることで損失分を相殺できます。
両建てをすると負けない?
含み損がどれだけ増えたとしても、強制ロスカットにならなければ口座資金は減りません。
含み損ポジションをがガチホし続ける忍耐力が必要になりますが、決済する時点でマイナスになっていなければ勝ちという考え方もあります。
ポイント
『止まない雨はない』または『明けない夜はない』
含み損に耐えることさえできれば後は回復するのを待つだけです。
損切りしないで勝てる?
ロングポジションを新規注文したのちにレートが想定以上に下落したとします。
本来ならば損切りを実行するべきなのですが、同枚数ショートポジションを注文すると、それ以降は値が上がっても下がっても利益も損失もは増えません。
含み損ロック
損失の固定という形での両建て手法
高値買いの底値売りになってしまい、口座資金までロックされてしまうので機会損失につながりますが、勝負の結果はその後の値動き次第です。
両建ては禁止されている?
両建てを禁止しているFX会社もありますが、主に海外FX会社に多く国内FX会社はほとんどのところで禁止されていません。
多くの海外FXで両建てが禁止されている理由は、ゼロカットシステムの悪用を防止するためです。
ゼロカットシステムとは
トレーダーのロスカットが間に合わず、発生した損失分をFX会社が負担してくれるサービス
しかしながら、国内FX取引業者でも両建てを推奨していないということを理解しておきましょう。
FX口座を開設するならどこがいい?
FX口座を開設する時は、以下の条件のように自身にとって最適なFX会社を選んで組み合わせることが大切になります。
FX口座の開設目的 | おすすめの会社の特徴 |
短期取引 | スプレッドの狭い会社、約定力の高い会社 |
長期取引 | スワップポイントが高い会社 |
物色売買 | 通貨ペア数の多い会社 |
情報収集 | 情報量が多い会社、チャートが見やすい会社 |
自動売買 | 自動売買可能な会社 |
少額取引 | 取引通貨単位が1,000通貨以下の会社 |
自身の目的を達成できそうな優位性の高い会社を選ぶようにするようにしましょう。
投資のやり方やいくらでどれくらい稼げるかは、別ページで解説・実践しているので参考にしてみてください。
FXは生活に支障が出ないお金や最悪無くなってもよいと思えるお金で行いましょう。
FX初心者のうちは損切りすべき
通貨ペアと戦略次第では両建ては有効な手法になり得ます。
ベテラントレーダーになると、相場急変時は両建てでロスカットを回避しつつ、相場安定時は着実に利益を得ているケースも存在します。
しかしながら、各FX会社ではほぼ必ずと言っていい程『両建て手法は推奨していない』的な一文が添えられており、FX会社によっては両建て手法自体を禁じている場合もあります。
両建てを上手く使いこなすことで、戦略次第では相場がどちらに動いても利益を出すことができるようになるかもしれないというロマンがあるのも事実。
両建てメリット・デメリットを理解したうえで、自身にとっての有効な使い方を見つけ出してみてはどうでしょうか。