投資の教科書

【有事の円買いの終わり】弾道ミサイル発射でなぜ起きない?有事のドル買い時代へ

東日本大震災でも円高になったのに、近年は有事でも円買いにならないのはなぜ?

 

為替相場が円安・円高というように変動する要因は、2つの通貨の需給バランスが大きいと言われています。

 

円を売ってドルを買いたい人が多ければ円安ドル高になり、円を買ってドルを売りたい人が多ければ円高ドル安になります。

 

円高・円安のバランスが傾く要因は様々ですが、近年は政策金利などの様々な要因から円極端に弱くなっています。

 

管理人
為替相場が変動する理由や原因について解説していくので参考にしてください!

 

弾道ミサイル発射による為替相場(FX)への影響

 

2018年頃までは、北朝鮮の弾道ミサイル発射報道で円高が急速に進行する傾向がありました。

 

日本が重大な危険にさらされているにもかかわらず、有事の円買いで円が買われる展開になりやすい状態が続いていました。

 

しかしながら、2020年頃からは北朝鮮が弾道ミサイルを発射しても為替相場には影響が出なくなってきています。

 

ポイント

北朝鮮の弾道ミサイル発射はすでに織り込み済みのため相場の影響が小さい

 

北朝鮮が弾道ミサイルを日本海にむけて発射することが、すでに為替相場に反映されているからだと思われます。

 

遺憾砲は意味ない?

遺憾砲とは、北朝鮮がミサイルの可能性のある飛翔体を発射した後に、日本政府が「きわめて遺憾」という言葉を打ち返すものです。

 

『遺憾』という言葉を外交の舞台に用いたのは日本が初で、残念に思うという表現をしながら『怒り』を伝えるという意味です。

 

ポイント

日本政府は北朝鮮に抗議文章をファックスで送っている

 

北朝鮮がミサイルを発射するたびに、日本政府は北朝鮮に対し厳重に抗議したと報じられますが、実は北朝鮮大使館にファックスを送っているだけという情報があります。

 

スプレッド拡大に注意が必要

北朝鮮によるミサイル発射やテロ、米国大統領等の要人によるサプライズ発言などでスプレッドが拡大することがあります。

 

FXのスプレッドとは実質的な手数料(コスト)です。

 

売りたい人や買いたい人が少ない時期や時間帯は、FX相場の急変動が起こる可能性が高まります。

 

流動性が高い米国の雇用統計や政策金利などの発表前後も、相場が急激に変動しやすくスプレッドが広がるので注意が必要です。

 

リスクオンの意味

リスクオンとは、投資家がリスクと取っても良いと判断し、新興国通貨等のリスクが高い資産を買う動きのことです。

 

相場がリスクオンムードの状態は、投資に向いている資産が買われて、資金調達に向いている資産や価値の保存に向いている資産が売られる傾向があります。

 

ポイント

リスクオンムードは安心して投資をできる状況のこと

 

文字通りに受け取るとリスクがオン(発生)するという意味にとらえてしまいがちですが、積極的にリスクを取って比較的危険なリスク資産を買う相場のことを言います。

 

リスクオフの意味

リスクオフとは、経済不安が広がったり地政学的リスクが高まった時に、投資家が株式や新興国通貨などリスクが大きい資産を手放す動きのことです。

 

相場がリスクオフムードの状態は、損失リスクを避けて比較的安全資産とされている国債などの資産に資金を振り替える動きが見られます。

 

注意

リスクオフムードは安心して投資ができない状況のこと

 

文字通りに受け取るとリスクがオフ(消滅)するという意味にとらえてしまいがちですが、リスクを避けて比較的危険な資産を手放す相場のことを言います。

 

有事の際に買われやすい通貨とは

世界経済に影響を及ぼしかねない戦争や災害などの有事の時は、有事が発生している国から経済的にも物理的にも離れている国の通貨が買われやすくなります。

 

今までは日本で災害が発生しても円が買われるほど有事の円買いが強い時代が続いていましたが、近年は政策金利などの様々な要因から米ドルが強くなっています。

 

ポイント

資金の逃避先になりやすい強い国や攻められにくい国の通貨が買われる

 

他の国と陸続きになっていない島国の通貨も、有事の際の資金逃避先になりやすい傾向があります。

 

有事の円買いとは

有事の円買いとは、戦争や大災害などの有事が起こった時に、リスク回避の手段とし比較的安全な通貨とされる円を買う人が増える動きです。

 

有事の円買いは、日本が世界最大の対外純資産国であることが背景にあるという解説をされてきました。

 

ポイント

有事の際は対外資産を現金化して日本に戻す動きが出るという思惑から円買いになる

 

しかしながら、今年2月末から始まったロシアとウクライナの戦争で、為替相場は有事の円買いにならずに円全面安になっています。

 

有事のドル買いとは

世界経済に影響を及ぼしかねない戦争や災害などの有事の時は、リスク資産に投資されていたお金がリスク回避のために現金化される動きがあります。

 

世界の投資家は米ドルを軸にして世界中に投資をしており、リスクオフ相場時は損失回避のためにリスク資産が一旦現金されるので米ドルが上昇しやすくなります。

 

ポイント

世界の基軸通貨である米ドルは世界一取引高が多い通貨で信頼性も高い

 

戦争や災害などの有事が発生している国から遠い国の通貨が買われやすくなることもあります。

 

為替相場の円高・円安とは

 

1973年頃まではドル円相場は「1ドル=360円」固定にされていました。

 

その後は固定相場制から変動相場制に移行して、その時々の金融政策や経済状況などによって為替相場が動くようになっています。

 

ポイント

  • 円高:円の価値が高くなる状態
  • 円安:円の価値が安くなる状態

 

2000年以降の円相場は1ドル=100円~140円前後で推移しており、当初の1ドル=360円と比較すると円高になっていると言えます。

 

円安のメリット・デメリット

円安のメリット・デメリットは以下の通りです。

 

個人 企業
メリット 外貨や外国株式での資産が増える 輸出企業の業績が良くなる
デメリット 輸入商品が値上がりする 輸入企業の業績が悪くなる

 

円安が進行すると様々な商品が値上がりすることになります。

 

円安からくる値上げは、ひとつひとつの商品では10~100円前後になるため実感が湧きませんが、月間ベースで支出を計算するとかなりの負担になると思います。

 

円高のメリット・デメリット

円高のメリット・デメリットは以下の通りです。

 

個人 企業
メリット 輸入商品が値下がりする 輸入企業の業績が良くなる
デメリット 外貨や外国株式での資産が減る 輸出企業の業績が悪くなる

 

円高の最大なメリットは外国からの輸入品が安く買えることです。

 

エネルギー価格も円換算すると安くなるため、ガソリンや電気ガス代なども安くなり家計の負担が軽くなります。

 

為替相場が変動する理由

金利が高い国の通貨は上昇し、金利が低い国の通貨は下落する傾向があります。

 

利息を多くもらえる国の金融機関に預けたほうが有利になる、という金利面での影響が強いとされています。

 

他にも、インフレが起きている国の為替レートは安くなりやすく、デフレが起きている国の為替レートは高くなりやすい傾向があります。

 

ポイント

  • インフレーション:物価が上昇して通貨価値が下降する
  • デフレーション:物価が下降して通貨価値が上昇する

 

しかしながら近年の米国のように、インフレを抑えるために中央銀行が利上げをするのであれば、他国との比較で為替レートは高くなりやすいです。

 

FX口座を開設するならどこがいい?

 

FX口座を開設する時は、以下の条件のように自身にとって最適なFX会社を選んで組み合わせることが大切になります。

 

 FX口座の開設目的  おすすめの会社の特徴
 短期取引  スプレッドの狭い会社、約定力の高い会社
 長期取引  スワップポイントが高い会社
 物色売買  通貨ペア数の多い会社
 情報収集  情報量が多い会社、チャートが見やすい会社
 自動売買  自動売買可能な会社
 少額取引  取引通貨単位が1,000通貨以下の会社

 

自身の目的を達成できそうな優位性の高い会社を選ぶようにするようにしましょう。

 

FX投資のやり方や、どのFX会社の口座を使っているのか、元手いくらでどれくらい稼げるかは、別ページで解説・実践しているので参考にしてみてください。

 

FXは生活に支障が出ないお金や最悪無くなってもよいと思えるお金で行いましょう。

 

FXは9割の人が勝てない

FXは7~9割の人が勝てずに退場を経験するとも言われています。

 

FXトレードで失敗するパターンは以下の通りです。

 

注意

  • 欲を出してロットを大きくしすぎている
  • 急いで稼ごうとしすぎている
  • 損失を取り返そうとする
  • 手法やルールが定まっていない
  • ギャンブル感覚でトレードを繰り返している

 

ほとんどの人が億トレーダーになるどころか、利益を出せずに退場している厳しい世界です。

 

FXで億り人になれるのはほんのひと握りですが、億り人を目指してコツコツと長期で目指すことは可能です。

 

有事のドル買い時代へ

円高・円安のバランスが傾く要因は様々ですが、近年は政策金利などの様々な要因から米ドルが強くなっています。

 

2000年以降の円相場は1ドル=100円~140円前後で推移しており、当初の1ドル=360円と比較するとまだまだ円高の状態だといえます。

 

米ドルは世界の基軸通貨という強みから、有事の際は買われやすい傾向があります。

 

しかしながら、米国でテロや金融危機が発生した場合は、米ドルが急激に売られることも念頭におきましょう。

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