投資の教科書

【追加証拠金とは】追証を払えないとどうなる?仕組みや対処方法を解説

トレーダーがFX取引をするためには、口座開設をしているFX会社に証拠金を預ける必要があります。

 

保有ポジション金額に対して一定割合未満に減少した場合は、FX会社から証拠金を追加入金するよう要求されます。

 

FXを始める前に追加証拠金について必ず理解しておかなくてはなりません。

 

このページでは、追加証拠金の仕組みや発生した時の対処方法を解説するので参考にしてください。

 

追加証拠金(追証)をわかりやすく解説

 

FX会社に預けている証拠金が相場の急変動等で不足してしまった場合、FX会社から追加入金を求められます。

 

その際に不足している証拠金を追加入金することを追証といいます。

 

注意

口座残高が不足するとFX会社から証拠金を追加で入金するよう要求される

 

FX会社によっては追証自体がないところもあり、規定値(100%以下が主流)を下回った段階で強制ロスカットされます。

 

FXのレバレッジ取引とは

FXは証拠金として預けた資金の何倍もの金額の外国為替取引が可能です。

 

自己資金よりも大きなお金を動かす取引のことを『レバレッジ取引』といい、基本的に日本では最大25倍のレバレッジを効かせることができます。

 

たとえば自己資金100万円でFX取引をする場合、25倍レバレッジを効かせることで実質2500万円分の取引が可能です。

 

リターンが25倍になるということは、リスクも25倍になるということを忘れてはいけません。

 

追証が発生するタイミングや仕組み

相場の予期せぬ大暴落または大暴騰などで、口座の証拠金維持率がFX会社が定める最低水準以下になるとFX会社から追証を求められます。

 

日本のFX会社では、証拠金維持率が100%を切ってしまうと強制ロスカット(強制的に保有しているポジションが全て決済される)されます。

 

その最悪の事態の一歩手前にFX会社から「証拠金維持率が100%を下回りそうですよ~」的な連絡がきます。

 

注意

  1. FX会社から追証がくる
  2. さらに証拠金維持率が悪化する
  3. 保有ポジションが強制ロスカットされる

 

取引ができない週末に相場が急変動をする場合があるので、レバレッジを高めに設定した状態でのポジション持ち越しは危険です。

 

追証を払えない場合の対処方法

どうしてもお金がない場合は分割でも支払いきれなくなることもあり、その場合は「債務整理」も視野に入れて検討するしかありません。

 

追証をどうしても払えない場合、どのような対処法があるのかを確認しておきましょう。

 

追証が払えない場合の対処方法

  • 分割払いを相談
  • 身内に相談
  • 金融機関から借り入れ

 

資金を用意することがどうしても難しい場合は、金融機関から一時的にお金を借りることで追証の支払いに充てるしかなさそうです。

 

追証請求は基本的に一括入金を要求されますが、対象者は一括で払えない人がほとんどになってくることは最初から想定されているかもしれません。

 

追証と強制ロスカットの違い

 

FX取引では、強制ロスカットという仕組みが導入されています。

 

口座の証拠金維持率が一定水準を下回った場合、FX取引を行っているトレーダーの意思に関係なくFX会社によってポジションが強制的に決済されます。

 

強制ロスカットは、水準以上に損失が広がらないようにするための投資家保護機能のようなものです。

 

追証が先に発生して、その後に強制ロスカットがあると考えておきましょう。

 

強制ロスカットされるとどうなる?

保有ポジションが全て強制ロスカットされてしまうと、FX口座の残高が0円以下になってしまいます。

 

0円ならまだしも、相場の動き方次第では残高がマイナスになってしまう可能性もあります。

 

注意

残高がマイナスになってしまうと損失が発生したマイナス残高分を請求される

 

返済期日までに請求分を支払うことができなかった場合は、法的措置を取られ財産を差し押さえられます。

 

『FXなどの信用取引=危険』のイメージは、レバレッジを効かせられるがゆえに残高以上の取引ができるところから出てきているのだと思われます。

 

強制ロスカットは正常に機能しない

残高マイナス分は、金融機関からの請求が終わることなく支払いが完了するまでメール・電話での督促が続きます。

 

取引業者によっては日を追うごとに遅延損害金を請求されることがある点にも注意が必要です。

 

注意

追証の支払いを無視し続けると、裁判所を通じての一括請求または分割請求される

 

遅延損害金が発生する場合、未入金額に対して日割りで発生するため、未入金額が大きいほど多額になってしまいます。

 

FXによる借金は原己破産できない

先に述べておきますが、FXや株取引による借金は免責不許可事由に該当するため、原則は自己破産できないようになっています。

 

破産法では、次の免責不許可事由を定めています。

 

浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

引用元:破産法252条第1項4号

 

FXはギャンブルではないという考えもあるため、短期間で著しく財産を減少させたかどうかに焦点が当たると思われます。

 

追証発生を防ぐ3つの方法

 

FXの追証発生を防ぐ方法は以下の3つです。

 

ポイント

  • FX口座に入金する
  • ポジションを両建てにする
  • 含み損ポジションを損切る

 

FXやCFDなどの信用取引をする上で、強制ロスカットや追証の発生は絶対に避けなくてはいけません。

 

自身の損切りルールを徹底して守り、追証が発生するほどの無理なトレードはやめておきましょう。

 

FX口座に入金する

追証が発生してしまいそうな時はFX口座に資金を入金するのが手っ取り早い対処法。

 

FX口座に入金すれば証拠金維持率が回復するので、根本的な解決には至っていないもののひとまずは追証を避けることができます。

 

しかしながら、新たに入金できるほどのお金を持っているのであれば、追証すれすれにまで追い込まれる状況にはなっていないのではないでしょうか。

 

ポジションを両建てにする

追証が発生しそうなほどの含み損が発生しているポジションを『両建て』にすれば、その時点からは利益と損失が相殺されるため証拠金維持率はキープされます。

 

同じ通貨ペアの両建てにしてしまえば、それ以降レートが上がっても下がっても利益と損失が相殺されます。

 

注意

両建てで含み損をブロックするのは一時しのぎでしかない

 

両建てにする以前の含み益または含み損はレートが上がっても下がってもそのままなので、強制ロスカットからの追証は防ぐことができます。

 

含み損ポジションを損切りする

口座に入金したり両建てにしてその場をしのぐという方法もありますが、含み損ポジションを損切ってしまうことが一番の解決法です。

 

損切りを実行してしまうと含み損が損失として確定してしまうので、大切な資金が減ってしまうことにはなります。

 

しかしながら、強制ロスカットからの追加証拠金の要求の運びになってしまうよりかはにマシかもしれません。

 

FX口座を開設するならどこがいい?

 

FX口座を開設する時は、以下の条件のように自身にとって最適なFX会社を選んで組み合わせることが大切になります。

 

 FX口座の開設目的  おすすめの会社の特徴
 短期取引  スプレッドの狭い会社、約定力の高い会社
 長期取引  スワップポイントが高い会社
 物色売買  通貨ペア数の多い会社
 情報収集  情報量が多い会社、チャートが見やすい会社
 自動売買  自動売買可能な会社
 少額取引  取引通貨単位が1,000通貨以下の会社

 

自身の目的を達成できそうな優位性の高い会社を選ぶようにするようにしましょう。

 

FX投資のやり方やいくらでどれくらい稼げるかは、別ページで解説・実践しているので参考にしてみてください。

 

FXは生活に支障が出ないお金や最悪無くなってもよいと思えるお金で行いましょう。

 

追証なしのFX会社はある?

法律(金融商品取引法)により縛られているため、国内のすべてのFX会社で発生する可能性があります。

 

二 有価証券売買取引等につき、自己又は第三者が当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為
三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為

引用元:e-Gov法令検索

 

金融商品取引法は国内のFX会社に限り適用されるので、海外FX会社を国内で利用する場合は適用外になります。

 

海外FXの場合は海外の法律に基づくため「追証なし」の会社も多いです。

 

追証の仕組みと対策まとめ

相場の予期せぬ大暴落または大暴騰で保有ポジションの含み損が拡大すると、自身の証拠金維持率が証券会社が定める最低水準以下になる危険性があります。

 

口座の証拠金維持率がFX会社が定める最低水準以下になると、FX会社から追加証拠金を要求されます。

 

そのまま状況が悪化すると、強制的に保有しているポジションが全て決済されてしまい、返済期日までにマイナス分を支払う必要が出てきます。

 

FX取引をする上で、強制ロスカットや追証の発生は絶対に避けなくてはいけません。

 

自身の損切りルールを徹底して守り、追証が発生するほどの無理なトレードはやめておきましょう。

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